老婆100's <青春>

物語いろいろ、人生道草

- 芒 -7.新しい生活

雪がチラつく冬が訪れていた。魚河岸用の箱作りは順調に見えた。高く積み上げられてゆく箱に埋もれて働く母親の姿を目にした。暴力に怯えず母子二人で暮らせる事に安堵していた。夜も一緒に寝た。まり子の冷たい足を母の足で挟んで暖めてくれた。手がヒビ切れ、崩れかかっている足の霜焼けが痒い。甘えたい!子供心丸出しで眠った。

お腹一杯とはいかないまでも、朝と晩はおじやが食べられた。

新しい学校に行くため、母親のビロードのような洋服を崩してギャザスカートを縫ってくれた。仕上げでゴムを通す時にまり子に穿かせて胴回りを調整した。沢山の飛騨、くるりと回って裾が広がるのをお姫様気分で楽しんだ。

母親は前借りをして、ブカブカな運動靴とセーターも用意してくれた。

新しい学校に行く日が来た。魚河岸通りや長い市場を通り抜け緩やかな坂道を歩いた。一時間位はかかっただろう。坂道の途中から右手へ曲がり、更に登ってゆくと左前方に学校が見える。近づくにつれてドキドキし始めた。先生や友達は優しいかな、苛められないかな、悪口で囃し立てられないかな。不安で一杯となる。

校門を抜けると、二宮金次郎の銅像があった。薪を背負い本を読んでいる姿を横目で眺めながら手を引かれた。一通りの手続きが終わり明日からの登校となった。初日は職員室へ来るように言われた。帰り道、母親から通学路を迷わないように要所、目安を教えられた。長い道のりだから迷わないか心配だった。

登校日、母親が近所に頼んだのだと思う、齢が違う五人の子供が迎えに来てくれて一緒に行くことになった。長い通学路をじゃれ合ったりしながら歩く子供の後を、少し離れて歩いた。

先生が、教室に連れて行き教壇に立たせて紹介してくれた。みんなにジロジロ見られているような気がして恥ずかしく熱くなった。

続く・・・

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