老婆100's <青春>

物語いろいろ、人生道草

- 芒 -9.朝鮮人部落

住み始めた家の辺りの様子に慣れてきた。

古ぼけたトタン屋根、壁をトタンで覆ったバラックが密集して大勢の人が暮らしていた。隣近所からは朝鮮語で喧嘩をしているような騒々しい会話が筒抜けてくる。

母親から朝鮮部落と聞かされた。

便所は共同で3分くらい歩いたところにある。木のパネルで囲っているだけの粗末なポットン便所だ。数か所有り、使用する場所は決められていた。臭いし汚れていて不衛生極まりない。寒い日は出たくないし、夜は暗くて怖くて行きたくない。まり子はいつも極限まで我慢した。一度だけ、便所に行って用を足している夢を見て心地よく寝小便をした。一組しかない布団を濡らしてしまったので母親に「二年生のくせに!」と怒られた。

水道は共同で蛇口の鍵を持って水汲みに行く。洗濯は、盥と洗濯板を持って水道の周りで数人毎に順番で使用する。まり子の仕事は、バケツに水を汲んで運ぶ事だった。欲張ってバケツいっぱいの水を汲んで帰りついたときは半分位になり足を濡らした。

バラックの中心付近に、万屋のような店が一軒あり子供たちが出入りしている。その様子を見て気にかかっていたが、お金を貰える事はなかったのでしばらく行くことは無かった。紙芝居をする人が時々来ていた。拍子木を打ち鳴らして子供たちを集めていた。水あめやソースせんべいなどのお菓子を買わないと見られないと思い遠くから羨ましく眺めていた。

学校へ行くときに迎えに来てくれる子供たちと話すようになり、楽しい心持ちになっていくまり子であった。

続く・・・

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