老婆100's <青春>

物語いろいろ、人生道草

- 芒 -13.立退きと解雇

母親の魚箱作りは正確な釘打ちで箱の出来栄えが良く、時間当たりの出来高も高く、女だてらにと評判が良かった。配給のお米を買うことが出来るようになっていた。お腹一杯は無理にしても食べる事ができた。

そうしてやっと掴んだ、貧しいながらも安定した生活は長くは続かない状況となった。

その日が来た。

立退きの要請を受けて作業場は解体して立ち退く事となった。

解雇は言い渡されていた。住む場所は、毎月幾らかの金を払う事で住むことが出来るよう近所の家に渡りをつけてもらえた。

障子で仕切った三畳間が二部屋と土間のトタン葺きの家でその一部屋を使うことが出来る。土間が炊事をする場所らしく共同で使うようだ。他の一部屋には持ち主の男性が住んでいた。

三畳間に僅かな荷物を運び込んで整理した。畳は所々擦り切れて藁が見えている。布団を隅に置いた。まり子は空いている片隅に机替わりのみかん箱を壁に付けて置き、学校道具を並べて見栄えを確かめた。

母親は貸主の日本人の男性に挨拶をしていた。まり子は厳つい顔をした男の人が気がかりだった。

こうして寝る場所は確保できたが、仕事にありつけない状況下で、母親は仕事探しに奔走する日が続く事になる。

続く・・・

f:id:roba100:20201112202733j:plain