老婆100's <青春>

物語いろいろ、人生道草

- 芒 -14.穴掘り

特に敗戦後のGHQによる占領下の時代では、誰もが生き抜くために廃墟と化した中から乏しい食料を必死に求めていたという。母親も有りっ丈の着物、持ち物を、食べる物に変えて凌いできた苦労話をよくする。明日はどうしようかと思いあぐねて絶望的になり死の選択も考えたという。まり子は幼い頃の断片的な記憶、ひもじい、飲みたい、寒い、暑い、が頭をかすめる。飢餓状態になりながらも母親の屈しない力と強い愛情で運よく生きる事が出来ているのだ。そんな母親にまた苦難がのしかかることを考えると、子供心に可哀想でたまらない。

まり子は、同級生のほとんどがお金持ちだと思えてならない。必要な物は揃っているし、着ている物に継当ては無いし暖かい服を着ている。住んでいる家も瓦葺きの屋根で羨ましい。まり子はお金持ちの家に生まれればよかったと僻み根性を抱く事も度々あった。

だけど、まり子は物を欲しがる事は決してしない。苦労を掛けたくない、少しでも母親の助けになるようにと、七輪に焼べる薪拾い、水汲み、蓬摘み、岸壁の陸揚げ時に零れ落ちる粟や砂糖、小麦を拾い集めた。少しでも多く持ち帰り母親が喜んでくれるのを期待した。

戦後9年が経過しているが、母子には貧乏から抜け出る事は遠い先のようだ。

仕事が無い状態は、数カ月続いた。学校に納める費用、給食費等の支払が滞るようになる。

部落の中には、職業安定所に並んでその日の仕事を求める多くの人達がいた。男なら有り付ける仕事もあるが、女には皆無に等しいそうだ。一つ屋根の下に住む男性もその一人で、間借りをしているまり子母子から受取る家賃の滞りは痛手だ。その男性より仕事の口利きをしてもらえた。土管工事のための穴掘りで半年は働ける。男並みに働くという条件で何とか雇ってもらえるようだ。重労働が待ち受ける気の重い仕事だが暫くは食い繋げる事が出来ると母親はひと安心したようだ。

続く・・・

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