老婆100's <青春>

物語いろいろ、人生道草

- 芒 -16.雨降り

母親は雨で仕事を休んでいた。まり子は母親が居てくれる事が嬉しかった。前借りをして溜まった集金、給食費など、各々集金袋にお金を入れてくれた。「落とさないように!」と何度も念を押された。

まり子は雨の日は友達と学校に行かない。傘や雨靴が無いので、ビニール風呂敷で頭から体を覆い、ぺちゃんこな運動靴をランドセルに入れて裸足で学校へ行く。母親がビニールを巻いてピンで留めてくれた。学校には、一番に着くよう早い時間に家を出る。こんな姿を見られたく無かった。下校迄に雨が止んでくれる事を願った。降り続いた場合が一苦労する。人気のない頃を見計らって裏門からこっそり駆け出すこともあった。

緩やかな坂を登り、校門に着く迄には誰にも会わなかったのでホッとした。洗い場で足を洗い教室へ向かう。雨が降る日は、母親には日銭が稼げないため痛手であり、まり子にとっては貧乏くさい姿を晒したくないという自尊心との闘いになるのだ。でも唯一の楽しみがあった。皆が登校して来ない間、教室に備えてある、おはじきやお手玉、けん玉など普段はなかなか回ってこない順番を待たずに思い存分ひとり遊びが出来ることだ。

その日、もうひとつ嬉しい事は、集金袋を先生に渡せることだ。これでしばらくは、催促されて恥ずかしい思いをしなくて済む。まり子はランドセルを開けて集金袋を確認した。

続く・・・

f:id:roba100:20201117150335j:plain