老婆100's <青春>

物語いろいろ、人生道草

- 芒 -21.ガード下の靴磨き

生活保護を受ける事が出来てひと息ついたとはいえ、食べることがやっとのような気がした。給付されたお金で、待望の雨靴と傘を買ってもらった。母親は、運動靴も底が擦り切れて穴が開いているので買い替えてくれた。そのようなものを買った為に、お金が減ると次の支給日迄には食べ物も事欠くようになることが多かった。まり子は、袖や襟の擦り切れた服で我慢している。母親も粗末な身なりをしているのに、ねだったりは出来ないことを良く知っている。まり子は、可愛い服を着て、白い靴を履き、頭に桃色のリボンを付けた自分を想像して楽しんだ。部落に戻れば、子供たち誰もが まり子と同じなんだ、と安心する。

相変わらず、学校から帰ったら鉄拾いに家を出る。時には魚市場付近で魚を拾うこともあった。駅横のガード下には、横にぎっしり並んで靴磨きをしている人たちがいた。子供や女性も混じっていた。まり子は、自分にも出来ないか、と立ち止まって様子を見たが、足をのせる台やブラシ、靴墨などを揃えなければならないので諦めた。なにより、大人の手早い動きでピカピカに磨き上げる上手さにはたまげた。

商店街向かった。下を見ながら鉄らしきものと、お金が落ちていないかを確認しながら歩いた。お店のラジオから ゛赤い夕陽がガードを染めて~♪゛と、ガード下の靴磨きという歌が聞こえてくる。最近よく耳にする。まり子は、可哀想な身の上を自分に置き換えて哀愁を込めて口ずさむようになっていた。その日はわずかな鉄屑と鯖一匹が収穫だった
続く・・・

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