すっかり葉を落とした木々の向こうに暮れて行く明かりが名残惜しい。
そろそろ寒々とした暗闇となる。そんな時間帯はあまり好きではない。
それには理由がある。戦後間もない幼いの頃、薄暗い電灯一つの部屋でただひとり、親の帰りを待つ時間が長くて寂しかった記憶がそうさせるのだろう。
テレビもゲームもない頃でもあり、当時はお化けの話が盛んだったので暗い夜は物の怪を思い出し怖かったこともある。
12月21日の冬至が過ぎれば、それからは日が少しずつ長くなる。
夜長のこの時期にいつも冬至を心待ちにする。
帰る道々、ゆず風呂にでもゆっくり温まりたいと思う老婆だった。