老婆100's <青春>

物語いろいろ、人生道草

- 芒 -22.シラミとDDT散布

学校では、DDTを散布するためクラス別に生徒を運動場に集めた。髪に白い粉をかけてシラミを退治するためだ。その時は、頭髪が真っ白になる事を 皆で面白がった。シラミは人に寄生して 発疹チフス等の伝染病を媒体する恐れがあるという。シラミが皮膚を刺すと痒くなる。頭を掻くと爪にシラミがついてくることもある。髪の毛に白い卵を生みつけるので目の細かい櫛で髪をすいてそれを取ったりする。
部落では、シラミが蔓延していて 一緒に遊んだりするとうつる事があった。まり子も髪や洋服にシラミが湧いて痒さに悩まされたことがある。そんな時、母親は大きな鍋に着るものを入れて湯を沸騰させてシラミを殺してくれた。学校で一斉にDDT散布でシラミ退治をしてもらえる時はホッとした。

戦後人々は 風呂に入れず 着替える服もなく ノミやシラミが湧き、それが原因で 発疹チフスで命を落とす人が多かったという。GHQは、日本人全員にDDTを散布する計画を 強制的に学校や職場などで行ったそうだ。DDTは肥料としても効果を発揮し、その後、自然生態系のバランスを崩すとして世界的に問題視され、日本では1969年に製造を中止したという。

DDT散布を受け終えて教室に戻ると、同じ部落の朝鮮の子が、男の子数人に「シラミ!シラミ!」と、囃したてられていた。まり子は、以前からその虐めを許せない、と思っていたせいか 怒りが込み上げてきた。早足で近づいて行き、「やめな!」と言って一番質の悪い男の子を突き飛ばした。同じ部落、同じ貧しい、という仲間意識がそうさせたのだと思う。
相手は、ぶつぶつ言っていたが反撃は無く その場は治まった。
まり子は、それをきっかけに、度胸が据わり 何事にも物怖じしないようになってゆく。
続く・・・

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