庭には、百日紅や梅の木、クチナシの花などが植わっていた。
生前母は、庭の手入れと空いたスペースにベコニヤも育てていた。
年老いて手入が出来なくなり庭先は雑草で覆われることが多かった。
放っておけないので仕事の合間に草取りをするようにしていたが、老婆もその頃の母の年代となり手入が億劫になりだした。
屈むと腰や膝が痛くて長時間は持たない。
この先、庭は荒れ放題となることが目に見えいてるので思い切ってコンクリートにすることにした。
整地のため庭先から木が引き抜かれた。
母のお気に入りだったベコニヤも取り去られた。
ベコニヤの赤い花とゴムのような葉が好きだった。
今はコンクリートで殺風景な空間となっている。
道すがらベコニヤを見つけて、そんなことを思い出していた。